lyxで図式を書く。

lyxで図式を書きたくなった。
キッカケは、
ald-d@2019年はスッスッスを見ろ on Twitter: "ちなみにこんな感じで書いています…… "
のツイート

そもそもlatexで図式を書く場合は、amscd、Xy-pic、TikZなどがある。
図式の書き方について : 圏論 | 壱大整域

さて、lyxでできるかどうかを調べたところ、
基本的には、command + Lでtexモードにしたところに、
amscd、Xy-pic、TikZのコードを入れればよい。

Xy-picだけは、lyxがサポートしていて、
command + M
で数式モードにして、コードを入れれば、その場で図式が表示される。
LyX wiki | LyX / XY-pic
sample file
Using XY-pic in LYX

Tikzを使う場合は、
latexのプリアンブル
\usepackage{pgfplots}
\usepackage{tikz}
\pgfplotsset{compat=newest}
とする必要がある。
LyXのアドバンスユーザを参考。
Plotting Graphs in LATEX Using LYX and PGFPlots

amscdはどうやれば良いかわからなかった。
The amscd package

使い勝手は、Tikzがよいかと思う。
Tikzは対象と射を定義すると図式ができあがる方式なので、意味がわかりやすい。

グラフを書くソフトならGraphvizがある。
Graphvizとdot言語でグラフを描く方法のまとめ - Qiita
Graphvizで遊んでみた - pho's blog

texstudioよさそう。
TeXstudio/設定/OS X の編集 - TeX Wiki

散逸系の変分原理のセミナー@金沢大学(8月17日)

散逸系の変分原理のセミナーをします。
二本立てで、山口哲生氏の「破局的力学現象の高精度発生予測:座屈,破壊から地震まで」の次に発表になります。

WMANP - Masato Kimura web site
散逸系の変分原理

 物理法則の中には「ある汎関数に停留値を与える現象が起こる」と言い表せるものがあり、これらを総称して変分原理と呼ぶ。良く知られた例は、解析力学で教えられるハミルトンの原理である。散逸のない系の運動は、汎関数に停留値を与えるラグランジュ方程式で定まり、ルジャンドル変換を用いれば、これに等価な方程式として、正準方程式を得る。
 散逸のない完全流体に対しても、各流体粒子に付随した物理量の時間発展を見るラグランジュ描像であれば、質点系と同様にして正準方程式を得る。一方、空間に固定された点での物理量の時間発展を見るオイラー描像での完全流体の正準方程式を変分原理で得るためには、あらたに補助場を導入するなどの工夫が必要である。我々は速度場を制御理論における制御入力とみなし、「評価汎関数に停留値を与える最適制御を求める」という最適制御理論の枠組みを使って、理論の見通しを良くした。[1]
 散逸のある系では、摩擦や粘性などにより力学的なエネルギーが熱エネルギーに変換される。一般に散逸系でのエントロピーの時間発展は、他の状態変数の時間発展に依存する。しかし、エントロピーは、同時刻の他の状態変数から求めることはできない。このような状態変数の関係は非ホロノミック拘束条件と呼ばれる。我々は、非ホロノミック拘束条件下での最適制御問題を解くことで、上述の完全流体に対する変分原理を拡張して、ナビエ・ストークス方程式を導出した。[2]
 通常の流体力学では、運動量などの保存量の釣り合いの式を与えた後に、圧力や応力の具体的な式を代入して、運動方程式を求める。変分原理の利点は、この手順を踏まえるのが難しい系でも、系統的に運動方程式を導出できることにある。
 一般に、物理の微分方程式系は、対称性と熱力学第二法則を満たし、更に境界値問題が良設定問題になるものでなければならない。我々の変分原理は、物理系を制御系とみなしたときに、制御関数、汎関数、拘束条件から、系統的に運動方程式を導出する枠組みを与える。具体的に運動を知る為には、制御関数、汎関数、拘束条件が何であるかを知る必要があるが、我々の方法では、これらを先に述べた物理系の持つ制約条件に矛盾しないように与えることができる。
 最初に、我々の変分原理を質点系の例で説明し、次に、ニュートン流体や粘弾性体の運動方程式の導出し、最後に、気液系などの界面がある流体の運動方程式を導出する。[3]

参考文献
[1] H.Fukagawa and Y.Fujitani: Prog.Theor. Phys. 124 (2010) 517.
[2] H.Fukagawa and Y.Fujitani: Prog.Theor. Phys. 127 (2012) 921.
[3] H. Fukagawa, C. Liu, and T. Tsuji: arXiv: 1411.6760 (2014).

stackを使う

cabal hellから逃れるにはstackを使うのが良さそう。以下は設定。
Haskell環境構築_20151226_最新版_4_投稿済み_stack-1.0.0対応版.md - Qiita

Install/upgrade - The Haskell Tool Stack
からstackのバイナリをもってくる。
適当な場所に置く。
pathを通す。
vi ~/.bash_profile

export PATH=$PATH:~/stack-1.1.2-osx-x86_64
alias ghc="stack ghc --"
alias ghci="stack ghci"
alias runghc="stack runghc --"
alias runhaskell="stack runghc —“

source ~/.bash_profile
stack setup
stack install --profile repa

ghc -prof -fprof-auto -rtsopts Main.hs
が通るようになる。
./Main +RTS -p

Main.profを生成する。
第5章 プロファイルを取る

5月24日@芝浦工大(豊洲)での発表

語ろう「数理解析」にある通り、以下の発表をします。
==== 語ろう「数理解析」5月のセミナー@芝浦工大豊洲)のご案内 ======

日時 平成28年5月14日(土) 14:00〜

場所 芝浦工業大学 豊洲キャンパス 教室棟5F505号室

講演1: 14:00−15:00(目安)

講演者 新居 俊作氏(九州大学大学院数理学研究院)

講演タイトル  微分形式による熱力学入門

講演概要

 本講演は深川氏の講演を聞く準備である。
 先ずラグランジュ力学系において対称性と保存量がどのように結びついているかを解説し特にエネルギーが時間平行移動対称性に付
随する保存量であることを示す。
 次に、熱力学をラグランジュ力学系に取り込むために、微分形式で表現された熱力学について解説する。
(ラグランジュ形式と変分原理自体については既知とする。)


講演2: 15:30−

講演者 深川 宏樹氏(九州大学大学院工学研究院)

講演タイトル  散逸のある連続体の新たな変分原理

講演概要
 物理系の運動法則を与える基礎原理の一つとして、「ある(作用)汎関数に停留値を与える現象が起こる」という変分原理がある。散
逸のない質点系の運動方程式はハミルトンの原理とよばれる変分原理から導出できる。一方、散逸のある系の変分原理としてはオンサ
ーガーの変分原理があり、線形現象で記述できる系であれば運動方程式が導出できることから、ソフトマターの分野では低レイノルズ
数領域の流体で広く用いられてきた。しかしながら、オンサーガの変分原理ではナビエストークス方程式のような対流項を含む運動方
程式は導出できない。

 我々は散逸系であってもハミルトンの原理を基にして、ナビエストークス方程式を導出できることを示した。更に空間に固定された
点での物理量の変化を見るオイラー描像では、流体の運動を速度場による制御系とみなし、ハミルトンの原理を「(評価)汎関数に停留
値を与える最適制御問題」とすることで、見通しよく流体の運動方程式が導出できることを見出した。散逸系では単位時間当たりのエ
ントロピー生成は他の状態変数の時間変化で決まることから、エントロピーに関する拘束条件は履歴依存性を持つ非ホロノーム拘束条
件で与えられる。最適制御理論の観点に立てば、散逸系の運動は非ホロノーム系の制御系とみなせる。

 通常の流体力学では、運動量保存の式を導いた後に応力テンソルの具体的な式を入れて系の運動方程式を得る。例えば、ナビエ・ス
トークス方程式を得るには、応力テンソルが圧力と剪断応力から成り立ち、剪断応力が速度勾配に比例すると定める。圧力は内部エネ
ルギーに、剪断応力はエントロピーの非ホロノーム拘束条件に関係する。我々の変分原理では、応力テンソルを与える代わりに「内部
エネルギー」と「エントロピーの拘束条件」を与える。なお、これらは全く任意ではなく、系の対称性や解の存在条件から制約を受け、
エントロピーの拘束条件については、更に熱力学第二法則を満たす必要がある。

 本講演では、ハミルトンの原理と最適制御理論の説明をして、その後、非ホロノーム系である散逸系の変分原理を説明する。最後に
この変分原理を用いてナビエ・ストークス方程式を導出する。粘弾性流体、二成分流体、液晶などのより複雑な流体にも本稿で紹介し
た変分原理は適用可能であり、時間のある限りこれを説明する。


※会場へのアクセスは、下記をご確認ください:

  http://www.shibaura-it.ac.jp/access/index.html

epiが全射にならない例

ついに圏論ブームがやってきましたね。

epiが環準同型だと全射になるとは限らないのはなんでかと聞かれたので考えてみました。

参考圏論:モノかつエピな射 再び - 檜山正幸のキマイラ飼育記
abstract algebra - Showing two ring homomorphisms that agree on the integers must agree on the rationals - Mathematics Stack Exchange

環準同型とは
1 f(a + b) = f(a) + f(b)
2 f(ab) = f(a)f(b)
3 f(1) = 1.
が成り立つ関数のことを言います。以下では2だけを使います。

例として、整数環Zから有理数環Qへの埋め込みeを考えます。

これは明らかに全射ではないです。

さらに有理数環Qから実数環Rへの環準同型fとgを考えます。

さて、eがepiであることを示すには、

f,gの定義域が整数に限られた時にf=gであるならば、
有理数全体でもf=gであることが言えればよいです。

整数n mが与えられたときに
f(n) = g(n)
ならば、
f(n/m)=g(n/m)
が言えればよいです。

以下証明 zig-zag定理というらしいです。

 f(n/m)
=f((1/m)(n))
=f(1/m)f(n)
=f(1/m)g(n)
=f(1/m)g((nm)(1/m))
=f(1/m)g(nm)g(1/m)
=f(1/m)f(nm)g(1/m)
=f(n)g(1/m)
=g(n)g(1/m)
=g(n/m)

f(n/m)=g(n/m)
となり証明が終わります。

こうしてみると、環準同型の2番めの性質が強くて、整数領域で関数を定義しても、有理数全体に関数が定まってしまうんですね。