積分の意味

ふと、積分をどう定義するかが気になって、杉浦光夫の「解析入門 (1)」の積分法の章を開いてみた。
そしたら、§1 積分の意味 一巻p208に

しばしば積分微分の逆演算として捉えられているが、これは限定的な意味でしか正しくない。特に多変数関数でが導関数f'(x)は行列値関数となるが、このf'(x)を積分しても元の実数値関数になるわけではない。また積分微分の逆と考え、積分法を微分法に還元するような考え方では積分によって初めて定義される量(例えば面積)について一貫した理論をつくることができない。そこで本書では積分微分とは独立した演算として定義し、その後で両者の関連を調べていくとする。

と書いてあって、びっくり。

特に

しばしば積分微分の逆演算として捉えられているが、これは限定的な意味でしか正しくない。

は驚いた。

ポントリャーギンの「やさしい微積分 (ちくま学芸文庫 ホ 13-1 Math&Science)」では、はっきりと6章で不定積分微分の逆演算として定義しているので、彼の方法とは異なる。
やさしい微積分 - hiroki_fの日記

一方、杉浦本では、定積分を定義した後に、
§5章 一変数関数の積分

この節では一次元の積分についてのみ成立することがらを扱う。特に重要なのは、一次元の積分微分の逆演算となることを示す定理5.3とその系である定理5.4である。

と書いてあり。
不定積分

定義2 Iを一次元区間とする。函数f:I→RがI上可積分であるとき、一点a∈Iを固定して得られるI上の函数
F(x)=∫_a^x f
を、fの不定積分という。

と定義してある。

ポントリャーギンは不定積分から定積分を定義していたので、逆の方向だ。

杉浦本は学部一年の時から持っているけど、こういうところまで読めてなかった。