2月12日の北大でのセミナー

2月12日に北海道大学Mathematical Modeling倶楽部(HMMC)で「変分原理による対称性、エントロピー増大則、良設定問題を考慮した散逸系モデルの定式化」を話します。

http://www-mmc.es.hokudai.ac.jp/els/seminar.html

第52回
2016年2月12日(金)
16:30〜18:00 北海道大学電子科学研究所 中央キャンパス総合研究棟2号館5階講義室 深川 宏樹氏
九州大学大学院工学研究院)
変分原理による対称性、エントロピー増大則、良設定問題を考慮した散逸系モデルの定式化

第51回
2016年2月12日(金)
14:30〜16:00 北海道大学電子科学研究所 中央キャンパス総合研究棟2号館5階講義室 新居 俊作氏
九州大学大学院理学研究院)
変分原理、対称性、熱力学概説 (深川氏の講演の準備)。

タイトル
「変分原理による対称性、エントロピー増大則、良設定問題を考慮した散逸系モデルの定式化」

要旨:
散逸系の
方程式を定める方法として変分原理による定式化を提案する。一般に散逸による系の履歴依存性は非ホロノミック拘束条件として与えられる。変分原理を用いれば、散逸系の運動方程式は作用汎関数を非ホロノミック拘束条件の下で停留値を与える条件として得られる。つまり、作用汎関数被積分関数であるラグランジアンと散逸を表す非ホロノミック拘束条件が分かれば、散逸系の運動方程式が導出できる。

ラグランジアンは運動エネルギーと内部エネルギーの差で与えられる。一方、非ホロノミック拘束条件は複雑な系だと分からないことが多い。そこで我々は非ホロノミック拘束条件を課した変分原理に次の3つを満たすことを要求した。

1 物理系は対称性とそれに関連する保存則を持つ。(ネーターの定理)
2 物理系は散逸があるときにエントロピーを生成する。
3 物理系は良設定問題である。つまり解が存在する。

これにより、ラグランジアンが与えられた時に非ホロノミック拘束条件のクラスが決まり、散逸系の運動方程式が得られる。我々はこの定式化を界面のある粘性流体、二成分流体、液晶に適用し、これらの運動方程式を得た。

本講演では、主に理論を紹介し、最後に現在我々が行っている数値計算について議論したい。

参考文献

Hiroki Fukagawa, Chun Liu, and Takeshi Tsuji. A variational formulation for dissipative fluids with interfaces in an inhomogeneous temperature field.
arXiv:1411.6760