モニャドセミナー第一回(ヒヤマセミナー)

昨日行ってきました。
2009-04-24 - 檜山正幸のキマイラ飼育記
みんなでしりとりをしたり、"ああ"と"あ”って何が違うの?みたいな話をしたり。
面白かったです。

参考
モニャドセミナーには参加しなかったんだけど - bonotakeの日記
モニャドセミナーには参加しなかったんだけど 続き - bonotakeの日記
Diary?::2009-04-24

圏論ってシンプルすぎて、最初勉強し始めた時は余計なことを考えてしまうんですよね。

これは何?と聞いても、それを考えることに意味はないみたいに言われると、

??

となるんです。

公理は3つしかないので、それに一つ一つ戻ってみれば分かりやすかったのではないかと思います。

おおざっぱに言えば、
圏論は、結合律が成り立ち、恒等射が存在するものだけが考察の対象なのではないでしょうか?(対象については省いて書いてる)

1 合成: f・g

2 結合律: 射をf,g,hとした時に(f・g)・h=f・(g・h)が成り立つ

これがあるからに射の合成について、単純にf・g・hと書くことができます。

3 恒等射: f・1=1・f=fが成り立つ1が存在する。

圏における対象とか定義域(域)とか値域(余域)は、射の舞台となるための黒幕に過ぎずオマケみたいなものに感じます。

檜山さんの"しりとり圏"は、そのことを見るのに良い例だと思います。
完全実装付きでもう一度お送りします、しりとりの圏 - 檜山正幸のキマイラ飼育記

恒等射は、公理に戻って考えれば良いと思います。

"あ"から"あ"の射は、
"あ"、"ああ"、”あいあ”
などありますが、

恒等射: f・1=1・f=fが成り立つ1が存在する。

の性質をみたすものは、
"あ"に限ります。

例: 1=あ f=あい or f=かあ 

"かあ"・"あ" 合成 "かあ"
"あ"・"あい" 合成 "あい"
"あ"・"あ" 合成 "あ"

ダメな例

"かあ"・"あいあ" 合成 "かあいあ"


あと、檜山さんの"しりとり圏"は、定義域と値域の要素が一つしかないというのが、面白い例だと思いました。対象が集合で射が写像だと思っていると、ついつい域の中に複数の要素があるのではないかと思ってしまいます。しりとりの例だと"あ"は"あ"としか言い様のないもので、集合という解釈をするのは無理があります。(やるなら、対象"あ"は、要素に"あ"を一つ含む集合)
また、射を写像だと思うと"ねこ"も"ねんこ"も、"ね"を定義域にし、"こ"を値域にするという意味で同じですが、しりとり圏では、"ねこ"も"ねんこ"も異なる射として存在します。

せっかくなので、対象が要素を複数もつ"しりとり圏"を考えてみました。ちょっといじるだけです。

定義域と値域の要素を複数にするには、対象をこんなものを考えればよいと思います。

射の定義域と値域を
「あ行、か行、‥ ら行、わ行」
でする。

な行 → か行 → ら行
  ねこ   こあら   

合成
な行 → ら行
  ねこあら


な行 → か行 → ら行
  にき   きら   

合成
な行 → ら行
  にら


みたいな。

"あ行"から"あ行"の射は、
"あ"、"ああ"、”あい”、"い"、"いい"
などありますが、

恒等射: f・1=1・f=fが成り立つ1が存在する。

の性質をみたすものは、
"あ"、"い"に限ります。

例: あ

"あ"・"あい" 合成 "あい"
"かあ"・"あ" 合成 "かあ"
"あ"・"あ" 合成 "あ"

これは同じですね。


たけをさんの説明より

1つ強調したいのは、上の あ と ああ の違いでわかるように、a -> a 型の射だからといって恒等射とは限らない、ってことですね。単に「域と余域が同じ」という射は endomorphism といいます(日本語は知らない)。恒等射ってのは endomorphism の中でも非常に特殊なもので、合成しても合成してないのと同じ効果が得られるもの、です。型では決まりません。