変分原理による非一様温度場中の界面のある散逸流体の定式化

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第86回現象数理セミナー
日時:11月19日(木)15:30-17:00
場所: C512室(九州大学伊都キャンパス・ウエスト1号館)
(終了後に地下鉄沿線にて懇親会を開催します)

講演者:深川宏樹 九州大学大学院工学研究院機械工学部門

タイトル:変分原理による非一様温度場中の界面のある散逸流体の定式化

要旨:

非一様温度場中にある二成分流体、液晶などの複雑な内部構造を持つ界面のある散逸流体の運動方程式を知るのは難しい。我々はこの問題を解決すべく、変分原理による定式化を提案した。

一般に、散逸による系の履歴依存性は非ホロノミック拘束条件として与えられる。変分原理を用いれば、散逸系の運動方程式は作用汎関数を非ホロノミック拘束条件の下で停留値を与える必要条件として得られる。つまり、作用汎関数被積分関数であるラグランジアン密度と散逸を表す非ホロノミック拘束条件が分かれば、流体の運動方程式が導出できる。

ラグランジアン密度は運動エネルギー密度と内部エネルギー密度の差で与えられる。一方、非ホロノミック拘束条件は複雑な系だと分からないことが多い。そこで我々は非ホロノミック拘束条件を課した変分原理に次の2つを満たすことを要求した。

1 物理系は対称性とそれに関連する保存則を持つ。(ネーターの定理)

2 物理系は良設定問題である。つまり解が存在する。

これにより、ラグランジアン密度が与えられた時に非ホロノミック拘束条件のクラスが決まり、散逸系の運動方程式が得られる。我々はこの定式化を界面のある粘性流体、二成分流体、液晶に適用し、これらの運動方程式を得た。

本講演では、主に理論を紹介し、最後に数値計算について議論したい。

参考文献

Hiroki Fukagawa, Chun Liu, and Takeshi Tsuji. A variational formulation for dissipative fluids with interfaces in an inhomogeneous temperature field.

arXiv:1411.6760