巨象とmanagerとcreator
またまた雑感
ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち ポール グレアム (著), 川合 史朗 (翻訳)
を読むと大体こんなことが書いてある。
本当に良いアイデアは集団の中で生まれるのではなく、個人の頭の中で生まれると思う。Creativeなこととは本来そういう性質のものではないだろうか?もちろん、良い仲間に恵まれてブラッシュアップされることはあっても、アイデアの芽は自分で育てなくてはならない。
そんな感想を持ったときに、巨象(IBM)はどうやって運営されているのだろうかと思った。のろまな巨象はぼやぼやしていると変化の早い時代に取り残されてしまう。
そこで読んでみたのが、
IBM Redux: Lou Gerstner and the Business Turnaround of the Decade
IBMの元スピーチライターが書いたガースナー(IBMのCEO、1993年4月〜2002年12月)のIBMの改革についての本。2000年に書かれて内容は古い。IBMの改革の最中であった2000年の空気感と現在のIBMを違いみたいなのを読みながら比較してみたいと思った。
昔、ビルゲイツ1995年に出版された
The Road Ahead (Penguin Readers, Level 3)
を読んだことがあった。彼の本では情報ハイウェイの未来について書いてあった。しかし、googleのような検索エンジンの重要性については書いてなかった。
一方、IBM Redux: Lou Gerstner and the Business Turnaround of the Decadeはガースナー自身がテクノロジーを理解しない人なので、未来についてのIBMのビジョンを語っている所はなかった。
この本は、ガースナーのよる官僚機構の打開についてがメインだった。大きな組織の風通しを良くするためにガースナーが取った改革は社内の情報が上層部に伝わるようにしたことだ。そして、売上を伸ばすためにしたことは顧客に耳を傾けたことだ。企業として成り立つための当たり前のことをしたにすぎない。まぁ、それが難しいのだとは思う。
ポール グレアムは、自分の立ち上げた会社が大きくなるとyahooに売った。企業のマネージメントは彼の興味あるところではなかった。geekとしての才能と大企業のマネージメントの才能は全く別物なのだろう。
IBM Redux: Lou Gerstner and the Business Turnaround of the Decadeで面白かったのは、ロータスの研究所での話しと広告代理店の話だ。
ロータスの最大のヒット商品は、技術部門をマネージメントから切り離して、自由にやらせたところで生まれたとのことだ。
IBMの仕事を請け負った広告代理店では、数多くのスタッフを抱えながらも、その仕事の核となるアイデアを出して実行するのは2人だったらしい。
産業構造が変わらない分野ならルーチンワーカーだけで、仕事が成り立つのかもしれないけど、creativeなことが常に求められる世界だと、いかにcreativeであり続けることが必要となる。
昔はどんな産業も大規模な資本とルーチンワーカーを必要としたけど、今はcreatorがcriativeなことをするために必要なコストが安くなっている。掛けるコストが安くなって、criativeであることの価値が高まっている現在は、creatorにとっては、チャンスなのではないのだろうか?
読んでないけど、ガースナー自身が書いた本としては、「巨象も踊る」がある。