一般相対性理論のゲージ理論的見方(2)

一般相対性理論のゲージ理論的見方(1) - hiroki_fの日記の続き。
とりあえず(2)。内容は共変ベクトルと反変ベクトルのゲージ理論的な見方。メトリックの微分形式への拡張。

http://www12.plala.or.jp/ksp/differentialforms/MinkowskiDiffForms/は参考になるかも。計量をミンコフスキー計量からリーマン計量に変えて、やや数学的に細かくした。


ディラック一般相対性理論 (ちくま学芸文庫)は面白い。
これを参考にしながら、ゲージ理論に書き換えてみる。

数学は接続の微分幾何とゲージ理論
を参考にした。

共変ベクトルと反変ベクトル

前に、dxとは? - hiroki_fの日記
速度ベクトルをTpMで定義した。そして、

しかし、速度は余接ベクトル空間Tp*Mで定義しても良く、それについてはまた明日。

と書いて、その明日が半年後の今日になってしまった。

忙しかったり、気分が変わったり。

相対論には反変ベクトルと共変ベクトルがある。反変ベクトルとは、ベクトル空間TpMの元で
{\bf v}=v^i\frac{\partial}{\partial x^i}
となる。連鎖律により、座標系を(y^0,y^1,y^2,y^3)に変えると、
{\bf v}=v^i\frac{\partial y^j}{\partial x^i}\frac{\partial}{\partial y^j}
となる。

4次元ベクトル空間TpMの任意の元vに対して、線形写像の集合Tp*Mを考える。

Tp*M={v*:TpM→R;v*は線形写像}

このとき、Tp*Mも4次元ベクトル空間になる。ところで、TpMの基底を
\frac{\partial}{\partial x^i}
とする。このとき、Tp*Mの基底をdx^iで定める。
dx^iは座標系x^i:U\right R写像微分。Uは座標近傍。
dx^i:TpM \right T_{x^i(p)}R=Rより、これは、Tp*Mの基底になる。
また、明らかに
dx^i\frac{\partial}{\partial x^j}=\delta_{ij}
が成り立つ。これを簡略化して、
[tex:=\delta_{ij}]
と書くことにする。



計量テンソルgはホッジ作用素について。 - hiroki_fの日記で書いたように

p\in M U,V\in T_p Mとして、計量gは、
g: T_p M \otimes T_p M \rightarrow R
で座標系が(t,x,y,z)=(x^0,x^1,x^2,x^3)で与えられた時に、
g_p=g_{\mu\nu}(p)dx^\mu\otimes dx^\nu
で与えられる。

gが擬リーマン計量の時
(1)g_p(U,V)=g_p(V,U)
(2)任意のU \in T_pMに対して、 g_p(U,V)=0なら、V=0
が成り立つ。
これらから、g_{\mu\nu}(p)は対称行列で、逆行列g^{\mu\nu}(p)をもつことが分かる。

となる量g \in Tp*M \otimes Tp*Mのことだ。

ここで局所自然標構場を定義する。これは一般相対性理論で特殊な座標系を選べば、局所的には慣性系になるという物理法則に対応する。

局所自然標構場とは、
g(\frac{\partial}{\partial y^i},\frac{\partial}{\partial y^j})=\eta_{ij}
where \eta_{ij}=diag(-1,1,1,1)
となるベクトル場\frac{\partial}{\partial y^i}である。


さて、相対論では反変ベクトルv^iに対して、計量テンソルg_{ij}で文字を下げたv_j=g_{ij}v^iが、共変テンソルと呼ばれるが、これは、
g_ij(v^i,\ ):TpM \right R
となる線形写像を作ったことになり、これはTp*Mの元になる。計量の与えられた空間では、共変テンソルv_j=g_{ij}v^iは反変ベクトルv^iから一意に決まる。

TpMの元vからgを用いて作ったTp*Mの元をv*と置く。

計量を拡張していくことを考える。
Tp*Mの計量をg*を
g*(u*,v*):=g(u,v)=
で定義する。
つまり、g*(dx^i,dx^j)=g^{ij}となる。g^{ij}g_{ij}逆行列


さらにgを拡張する。

g(\frac{\partial}{\partial x{i_1}} \wedge \frac{\partial}{\partial x^{i_2}}, \frac{\partial}{\partial x^{j_1}} \wedge \frac{\partial}{\partial x^{j_2}})=\det \left(\begin{array}{lr}g_{i_1.j_1}&g_{i_1.j_2}\\g_{i_2.j_1}&g_{i_2.j_2}\end{array}\right)

g*(dx^{i_1} \wedge dx^{i_2}, dx^{j_1} \wedge dx^{j_2})=\det \left(\begin{array}{lr}g^{i_1.j_1}&g^{i_1.j_2}\\g^{i_2.j_1}&g^{i_2.j_2}\end{array}\right)

g(\frac{\partial}{\partial x{i_1}} \wedge \frac{\partial}{\partial x^{i_2}} \wedge \frac{\partial}{\partial x^{i_3}}, \frac{\partial}{\partial x^{j_1}} \wedge \frac{\partial}{\partial x^{j_2}} \wedge \frac{\partial}{\partial x^{j_3}})=\det \left(\begin{array}{lcr}g_{i_1.j_1}&g_{i_1.j_2}&g_{i_1.j_3}\\g_{i_2.j_1}&g_{i_2.j_2}&g_{i_2.j_3}\\g_{i_3.j_1}&g_{i_3.j_2}&g_{i_3.j_3}\end{array}\right)

g*(dx^{i_1} \wedge dx^{i_2} \wedge dx^{i_3}, dx^{j_1} \wedge dx^{j_2} \wedge dx^{j_3})=\det \left(\begin{array}{lcr}g^{i_1.j_1}&g^{i_1.j_2}&g^{i_1.j_3}\\g^{i_2.j_1}&g^{i_2.j_2}&g^{i_2.j_3}\\g^{i_3.j_1}&g^{i_3.j_2}&g^{i_3.j_3}\end{array}\right)

(3)は、これを使ってホッジ作用素について、そしてストークスの定理へ。