完全流体の変分原理

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完全流体の変分原理について議論してます。

物理学会大阪府立大学中百舌鳥キャンパス(2010/9/23(木)-26(日))」で発表します。
発表日時 24日 PSB会場 24pPSB 15:30〜17:30
領域11

24pPSB-45 Euler的描像による完全流体の変分原理の再考察

慶大理工  深川宏樹 藤谷洋平
Reconsideration of the Eulerian Variational Principle for a Perfect Fluid
Keio Univ. Hiroki Fukagawa and Youhei Fujitani

 Euler描像での完全流体のLagrangian密度は{{1}\over{2}}\rho v^2 - \epsilon(\rho,s)( ρ:密度, v:速度場, ε(ρ,s):内部エネルギー)で与えられる。流体の運動方程式の多くがEuler描像で解かれることからも応用上重要である。

 一様entropy下での渦度のある速度場をその作用の停留条件から求めるには、拘束条件として質量保存とエントロピー保存に加え、Clebsch potentialsと呼ばれる補助場の保存則が必要とされることが文献[1,2]などにより指摘されていた。その物理的な意味は文献[3,4]によっても議論されている。本研究ではClebsch potentialsが流跡線の初期と終端での位置を固定する条件を課すために必要であることを明らかにした。

 一方Hamilton形式については、non-canonical Hamilton形式が文献[5]などで提案され、helicityがPoisson構造に由来するCasimir不変量となり保存することが導かれている。しかし、helicityが完全流体において保存されるのはbarotropic流か非圧縮流であるときに限られ、一般的な完全流体に対してはこのようなnon-canonical形式は成り立たないと思われる。本研究では文献[6]によって議論されたcanonical Hamilton形式が、制御理論の枠組みを使って導かれることを示した。

 また本研究では上記の完全流体のEuler的な変分問題の定式化、及びcanonical Hamilton形式を相対論的完全流体に拡張した。

[1] H. Bateman: Proc. Roy. Soc. Lond. A 125 (1929), 598.
[2] C. C.Lin: Int. Sch. Phys. Enrico Fermi(XXI) (Academic Press,1963), p.93.
[3] T. Kambe: Physica D 237 (2008), 2067.
[4] Z. Yoshida: Proc. Int. Symp. Contemp. Phys. (World Scientific, 2008), p.125.
[5] P. J. Morrison and J. M. Greene: PRL. 45 (1980), 790.
[6] Z. Yoshida: J. Math. Phys. 50 (2009), 113101.

以下に簡単に内容を紹介します。

1.完全流体のLagrangian

完全流体のLagrangianは、
(運動エネルギー)−(内部エネルギー)
で書け、それに質量保存と断熱条件の拘束条件を加えて、速度場について変分をとったら、Euler方程式がでます。

2.Clebsch Potential

Euler描像の場合は、流跡線を時間両端で固定する条件をあらわに入れないといけません。そうでないと流跡線が自由端の場合の変分問題を解くことになり、それは一様エントロピー下では渦なしの解しか与えません。

3.Hamiltonian形式

完全流体のHamiltonian形式をつくります。
通常の解析力学の手法ではうまくつくることができません。しかしながら、解析力学を最適制御の問題と読み変えれば、Hamiltonian形式をつくることができます。

この場合は、

3.1 速度場をコントロールとみなす。
3.2 (運動エネルギー)−(内部エネルギー)の時空領域の総計を最小にする速度場を求めよ

という最適制御の問題として考えることができます。

発表資料

よろしくお願いします。