ラグランジアンvsハミルトニアン 時間軸は特別な存在か?

相対論は時間軸と空間を分離しない構造になっている。相対論では時間も空間も多様体上に局所的に与えた座標軸にすぎない。非相対論では時間軸は空間軸と明確な区別がされているけど、相対論ではそれをなくしてしまっている。

ラグランジアンは時空上ののスカラー関数で与えることができるので、値が座標変換によらず相対論との相性が良い。一方、ハミルトニアンはエネルギーを与える関数なので、時間軸を決めないと定まらない。相対論を考慮して物理をやろうとしたら、ラグランジアンからスタートしてハミルトニアンを構成するほうが理論は作りやすい。

相対論との相性で、物理現象には必ずラグランジアンがあると信じて疑っていなかった。しかし、熱力学と組み合わせるとラグランジアンからスタートするにはどうも不都合がある。

熱力学は時間の方向を与える。エントロピーに関する式を与えた瞬間に時間軸を決めてしまうことになる。そうすると時間軸が定まらないラグランジアンよりも時間軸を決めてしまうハミルトニアンの方が組み合わせて使いやすい。

エントロピー増大則を座標系を定めないで表現する方法があるのだろうか?アインシュタインが相対論でやったような物理の幾何学化が熱力学でも可能なのか、それとも熱力学が物理の幾何学化を阻むものなのだろうか。