乱流

乱流の発生

ファイルのダウンロード(認証なし)|一般社団法人 日本流体力学会

これに対して乱流の場合、どの方程式をどう解けば良いのかが問題であった。これに対して、一般的に二通りの考え方があった。一つは、乱流といえども流体の運動なので、流体の運動方程式、いまの場合 Navier-Stokes 方程式に、従わなければならない。ただ乱流の場合、その解が余りに複雑なので、同じ境界条件の下での解の集合を考え、この集合について、平均や相関といった統計量を論ずるのである。これは「乱流」を、個々の運動に関しては、時間変化が決定論的な「力学過程」とする立場で、上記の Goldstein の2巻本を初めとする著書や論文の多くは、この立場を執っていた。これに対して、「乱流」は、個々の運動の時間変化が偶然的な「確率過程」であるとする立場があった。この「確率過程論」については、当時、伊藤清「確率論」や伏見康冶「確率論 · 統計論」の名著があり、私も勉強させて頂いたが、ついに、乱流を「力学過程」の一つとする立場を離れることが出来なかった。