物理をやること

相対論的熱力学の研究をしている。熱力学を相対論化する目的は、ざっくばらんにいうと因果律を考察することだ。

通常の熱力では拡散方程式が因果律をやぶってしまう。拡散方程式とは、
\frac{\partial}{\partial t}T=D{\nabla}^2T
という形をしている。

この解は、3次元の場合について、
T({\bf r},t)=(4\pi D t)^{-3/2}\int d^3 {\bf r} T({\bf r},0) \exp (-\frac{{\bf r}-{\bf r}'}{4Dt})
となる。

初期条件Tをδ関数とすると、この解はどんな微小な時間をとってもわずかであるが、r=∞のところでT({\bf r},t)\not = 0になる。これは、温度の情報が無限大の速度で伝わってしまうことを意味する。

ジェニファー:「まぁ、そんなのどうせ微小量だから無視しましょうよ。」
アレックス:「因果律をやぶるなんて、やっぱりおかしいよ。」
オンサーガー:「これは時間に関して一回微分だから、いけないのじゃよ。二回微分を足しましょ。」

\tau\frac{\partial^2}{\partial t^2}T+\frac{\partial}{\partial t}T=D{\nabla}^2T

オンサーガー:「これではエントロピーとの関係が都合わるいなぁ。そうじゃ、エントロピーSは、パラメーターの時間微分を含むようにしよう。これでグー、グー、グー。コォー。」

てなわけで熱力学は拡張されたのです。extended thermodynamicsと言います。兄弟分に相対論版でcausal thermodyanmicsがいます。

ジョニー:「やっぱ、オンサーガー先生の定式化は無理あるんじゃない?最初から、相対論の枠組みで考えれば、そんな無理をしなくてもいいじゃないの?」

ジョニーはそういうふうに考えて、ただ今奮闘中です。





もがいているうちにアイデアが出てうまいこと解決すると、それは楽しいですね。
それが面白いからやる。それを貫ける人生ってすばらしいじゃないですか。