物理をやること
相対論的熱力学の研究をしている。熱力学を相対論化する目的は、ざっくばらんにいうと因果律を考察することだ。
通常の熱力では拡散方程式が因果律をやぶってしまう。拡散方程式とは、
という形をしている。
この解は、3次元の場合について、
となる。
初期条件Tをδ関数とすると、この解はどんな微小な時間をとってもわずかであるが、r=∞のところでになる。これは、温度の情報が無限大の速度で伝わってしまうことを意味する。
ジェニファー:「まぁ、そんなのどうせ微小量だから無視しましょうよ。」
アレックス:「因果律をやぶるなんて、やっぱりおかしいよ。」
オンサーガー:「これは時間に関して一回微分だから、いけないのじゃよ。二回微分を足しましょ。」
オンサーガー:「これではエントロピーとの関係が都合わるいなぁ。そうじゃ、エントロピーSは、パラメーターの時間微分を含むようにしよう。これでグー、グー、グー。コォー。」
てなわけで熱力学は拡張されたのです。extended thermodynamicsと言います。兄弟分に相対論版でcausal thermodyanmicsがいます。
ジョニー:「やっぱ、オンサーガー先生の定式化は無理あるんじゃない?最初から、相対論の枠組みで考えれば、そんな無理をしなくてもいいじゃないの?」
ジョニーはそういうふうに考えて、ただ今奮闘中です。
もがいているうちにアイデアが出てうまいこと解決すると、それは楽しいですね。
それが面白いからやる。それを貫ける人生ってすばらしいじゃないですか。