スノーグローブとゲーデルとマトリックス

眠い‥*1

映画マトリックスは好きな映画の一つだ。
主人公ネオの生きていた世界は実はコンピューターの中だったという話。

ネオは飴玉をなめて、コンピューターの外の世界に出ることができた。コンピューターの外部の世界を出ることに成功したネオは、マトリックスの物理法則をチートして、マトリックスの世界で超能力者になる。

第二部以降で、ネオは現実世界にもチートをして、超能力者になる。えっと、それは単にVMから出ただけで、まだコンピューターの世界にいたってことなのかな?

ネオの存在までマトリックスでは織り込まれていた感じだったし。


これって、スノーグローブだよね。

昨日のラムダ計算のセミナーは面白かった。
あっ、言い忘れていた:なんで停止性なのか? - 檜山正幸のキマイラ飼育記

ゲーデルの論文のほとんどは

1.できる演算の定義
2.命題を数字にすることができる。

に費やされていて、その解説が終わったら、

3.自分自身を引数にする命題
4.証明不可能な命題の存在

ってな具合になっていたような気がする。

いや印象なんで‥。 後で間違えに気がついたらこっそり直すかも。

でも、これはコンピューターの中で
演算=プログラムの処理系(CPU,VM)
命題=プログラム
に置き換えることができる。

檜山さんの解説によると、

1は、プログラムを実行するCPU*2だよ。
2は、ハードディスク上のプログラムファイル。

で了解することができる。ゲーデルの時代は、演算とは何かとか、命題を数字に置き換えるとは何かとかについて、身近に感じさせる存在がなかったので、ゲーデル数なるまどろっこしいものを使って、粛々と説明された。コンピューターの設計そのものだ。

3と4については、

int s(any_number_or_any_bitcombination_t x)
{
if (good(x, x)) {
while(1) {
; // do nothing
}
return 0; // cannot reach
} else {
return 0;
}
}

のコードを書いて、good(x,x)なんてありえないよね。とコンピューターでは実装できない関数good(x,x)の存在を示した。

今の時代だったら、こういう説明の仕方のほうが断然わかりやすい。



で、マトリックスについての僕の妄想。

コンピューターの実装できない関数で乱数がある。

マトリックスでは人間は機械につながれていて、乱数のない世界で暮らしている。でも、肉体や脳のほうは、現実の物理法則に支配されていて、そこには乱数(量子力学を用いれば乱数の生成は可能)がある。

つまり、人間はゲーデルの定義した公理系もしくはコンピューターで実装可能世界を含むより大きな世界にいる。

マトリックスの世界では、マトリックスの世界を観察するよりも、自分自身(脳)を観察する方がより広い世界があることになる。

そんな妄想を久しぶりにしてみました。眠い‥
マトリックスの住人 - hiroki_fの日記



まともな話はこちら。檜山さんの紹介より、

http://www.chimaira.org/archive/slide20090219.pptx
http://www.chimaira.org/archive/slide20090219-1s.pdf

文殊堂さん
『技術者/プログラマのためのラムダ計算、論理、圏』セミナー#2 - 文殊堂

たけをさん
『「技術者/プログラマのためのラムダ計算、論理、圏」セミナー』 第二回に行ってきた - bonotakeの日記

Kuwataさん
Diary?::2009-02-20

檜山さん たけをさんへの応答+補足解説
[http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20090220/1235094341


昔、書いた日記  3年も昔に書いたものをここに晒します。



I, robot 2006年03月28日


アシモフのSFの古典I,ROBOT日吉駅天一書房で買ってよみました。

印象に残った話は、2つ。
一つは宇宙船にやってきた人間以上の理性を持ったぼったロボットが自分の与えられた仕事を神から与えられた使命として認識した結果、独自の世界観を作り出し宇宙船を預言者として支配する話。
もう一つは、未来の地球がロボットの統轄官によって平和に治められる話。

まず、ロボットが独自の世界観を作る話についての感想。
この話はロボットが自分の存在について疑問をもつところから始まる。
ロボットにとって世界は小さな宇宙船のみ、その宇宙船の目的はエネルギーを地球にレーザーで送ることだ。ロボットは宇宙船の目的を唯一の疑うことのできない公理として、それをもとに世界を組み立てていく。これはちょうどユークリッド幾何学が5つの公理からの演繹によって構成されていくのに似ている。ロボットの説明する世界は、本来の世界とはかけ離れたものであるが、小さい宇宙船の世界を説明するには十分な説明になってる。こういう論法は、幾何学とかではおなじみなので、特に驚くに値しなかったが、興味深かった。しかしながら自分の信じてる価値観がやはりこのロボットのように限られた情報から構成されていることを考えると案外哲学、人生観なんてもろいのかもしれない。

次はロボットに平和に支配される話。
未来の世界ではマシンに情報を入力してその回答に従って経済計画が立てられる。
国家がなくなり、いくつかの大陸に分かれたリリジョンによって分割的に政治が行われてる。個々のリリジョンの指導者は、マシンの回答に従うのは便利なだけだからで最終的な判断は人間が握ってると思っている。しかし実のところマシンは人間のそういう心境も計算にいれて回答を出していて結局はマシンの手の中で転がされてるという話。
作者には、十分な情報があれば人間の心理も含めて予測が可能だという心理があるのだと思う。世の中は確定的であるとか不確定的であるとかいう議論につながる話なのか?またロボットは、研ぎ澄まされた理性とロボット三原則による道徳による完璧な人間として描かれてる。人を傷つけない > 人の為に働く > 自分を守る。これらは最高の道徳というのである。

全体を通じて論理的で作者の主張が貫かれていて分かりやすかった小説だと思う。

さてここからは俺の妄想。限られた情報の中で世界を構成するという論法を発展させたらどうなるか?

限られたロジックで世界を認識する知的生命体は何処まで世界を認知できるかと言うことを考えてみたい。

例えば映画マトリックスみたいにコンピュータの中に世界をつくったらどうなるか?
マトリックスでは、コンピュータの世界に住む住人は、感覚こそマトリックスによって与えられているが、思考そのものは自分の脳で思考している。つまり注意深く思考していけば、どこかで脳のロジックとマトリックスのロジックのずれを認識するチャンスがあるかもしれない。マトリックスが現在のノイマン型のコンピュータであれば、量子的な効果をロジックに含めることは事実上不可能だ。しかし脳が原子とかで構成されてることを考えると量子力学の効果が多少となり影響していることも考えられる。つまりその部分でずれを認識できるかもしれない。(あくまで可能性)

仮にマトリックスの住人自体がマトリックスのロジックで構成された知的生命体だったらどこまで自分の世界を認識できるだろうか?つまりコンピュータの中で進化をするプログラムが自ら思考する力を持った時コンピュータの外に世界があることを認識できるだろうか?この知的生命体は俺が電源を落とせば世界に終わりがくることを理解できるだろうか?

物理学の限界は脳のロジックの限界によってるのではないか?コンピューターも実際には現実の物質でできてるから機械そのものは極論をいうと量子力学の法則で動いてる。でもロジックには、その効果が反映しない。

人間の脳は、自然界の物質で構成されてるがどの程度ロジックにその法則が反映されてるかわからない。人間の認知できる世界は自然界の法則のロジックの反映のされ方に限界が定められてるのではないか?すくなくとも量子力学を考えることができたのは脳のロジックに量子力学的効果が存在するからではないか?

実は今住んでる世界が仮想空間?誰かが電源を落としたら‥

   ポチッとな! ∧_∧         ドカーン!!!>
     ∧_∧  (  ´_>`)  されなければネ申。
     ( ´_ゝ`) /    ⌒i
 カタ /   \      | |    ぎゃああああああああ!!>
    /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
  __(__ニつ/  FMV  / .| .|____
.      \/____/ (u ⊃

どうでもいいか。俺は、サイファーなんで。てかマトリックスは名作だな

追記
現在のノイマン型のコンピュータでも波動関数が解けるので、べつに現在のノイマン型のコンピュータが量子力学的描像を描けないってことにならないのではないか?

光の二重スリットの実験で感光フィルムに粒子としてカウントされてく過程を再現する為には、ノイマン型のコンピュータでは波動関数を計算した後、乱数で適当に値を振り分けていかなければいけないので無理。

乱数をつくるっていうのが量子コンピュータが現在のノイマン型のコンピュータと決定的に異なるところではないだろうか?

乱数生成のアルゴリズムはありますが俺の感想では擬似乱数の域をでてないような気がします。円周率を計算するsuperπってプログラムがあって、それは乱数じゃないか?確かに周期は無限だとおもわれるので乱数として使えると思うけど、それは円周率にすぎないし、次の値が計算できるという意味では乱数ではないと思う。







心は量子で語れるか?   2006年04月23日




土曜日にツイスター、非可換幾何学関連の本を読もうと思って図書館で本を探していたら、こんなものを見つけた。
「心は量子で語れるか?」
ペンローズの本でなかったら、「とんでも本」だと思ってしまうようなタイトルだ。

科学は実証が難しいものに対しては控えめな態度をとるのが普通だ。
内心思うところがあってもその内容を確証ないまま発表するのは、非常に勇気のいることで、高名なペンローズだからできたことではないかと思う。

第一章は双曲幾何学の話で、宇宙は双曲幾何学で記述されるべきだという彼の美意識がうかがえる。また光円錐による因果律の説明がされている。重力のある空間では空間が曲率を持つので各点での光円錐の中心の方向が揃わないことが示唆されてる(←たぶん)。

おそらく彼の理論であるツイスターと何かしら関連があるのかもしれないがこの本ではそれには触れられてないので何ともいえない。ガウスボンネの話やエッシャーの絵の話は面白かったが、数学の知識がないとあまりピンとこないと思う。

第二章は、量子力学観測問題の話だ。
量子もつれ」の話と「シュレディンガーの猫」について彼の見解が述べられてた。
量子もつれ」については、あまり議論の余地が無いのですんなり説明されていた。
「シュレディンガーの猫」に解釈について、
まず状態ベクトルの収縮(Reduction)の解釈については、量子力学と古典論を結びつける為の便法のような感じがして彼のお気に召す感じではないようだ。
多世界宇宙の解釈については、エコノミカルでないと批判し、巨視的な現象の重ねあわせを認識できないことについて説明を与えてないと批判している。
ちなみに、この本の本章では述べられていないが、干渉破壊(量子デコヒーレンス)による解釈もあり、現在はこれが物理学者の間で信じられている。ホーキングは「これで解決だろ?他に何がある?ペンローズさんよ!」と言いたげだ。

彼はそこでOR(Objective Reduction)客観的収縮を提案している。重力のある空間では光円錐の方向性がずれるので状態の重ね合わせを行う時に因果律にずれが生じて、その結果計算不可能なORが起きるのだと言う。量子重力の話だが、今まで誰も成功していなく、それはやり方が間違っていたからだと述べている。彼のツイスターが正しいアプローチなのであろうか?俺は彼の理論に興味がある。

第三章は、計算可能性と認識についての話だ。要点はこうだ。
数学の問題にはアルゴリズムで解ける問題とそうでない問題があるそうだ。
例えば、偶数+偶数=奇数となる偶数を探せなどという問題は、どんなアルゴリズムを使っても解けない。なぜならそんな偶数は存在しないからだ。人は、適当な証明をすることができ、それをアルゴリズムに置き換えることが不可能だとしている。ペンローズは人がアルゴリズムに拠らない認識をできることを非常に重要視している。

次に人の脳細胞のニューロンについて語っている。テーマはニューロンは計算的(コンピューターでシュミレーション可能)かどうかだ。

彼は大規模な量子的干渉を起こしているといくつかの状況証拠をもとに結論をだしている。つまりORが起きているのだと結論付けているのである。


感想。
ORは非常に興味深い考え方だと思った。俺は彼のアプローチについて勉強してみたいと思った。おそらく彼も理論については成功していないと思うが、うまくいくなら彼のアプローチだろう。

第三章の脳に量子的干渉が起きてるといった状況証拠ははっきり言って弱いと思った。でも俺もそういうのが起きてると信じたい。

非常に面白かった本だったが、50年後には、「天動説みたいな愉快な話を昔の人は考えたね。」と評されるのか、「さすがペンローズ!この時代にこんなことを考えるとは先見性がある」と評されるのか時代の検証を待つような内容である。

とりあえず俺はペンローズ派だ。小さく主張しとこう。

あんまこういうことばかりいってると狂ったかと思われるんで、まじめな研究もしっかりできるようにしよう。でも、たまにはこういう妄想もおもしろいと思いません?

*1:花粉症の薬の副作用

*2:VMも含む