名人伝(不算之算)

中島敦の短編小説に名人伝というものがある。

ある若者が弓の名人になろうとして、弓の修行をする。そして、「不射之射」を極め、弓を引かずにして、弓を射る方法を体得する。

オチで、その若者は歳をとり、弓がなんであるかを忘れ、弓の射かたも忘れる。

この話が、昔からなんとなく好きだ。


僕が物理の名人になるのならば、計算せずして答えを得る方法「不算之算」を体得することであろうか?

半ば本気でその芸を身に付けようとしている。

数字の計算が昔から苦手というかめんどくさく思っていて、計算ドリルなどは絶対やりたくなかった。

大学に入ると数字の計算などめったにやらなくなり、文字を使った計算になる。

物理はだいたいカテシアン座標系で計算する。インデックスが多いし、微分の記号を書くのもいやになる。

もっと、らくに計算したいと思い。幾何を勉強した。幾何を勉強すると座標系が要らなくなる。物理量は、ほとんどボリュームに関係あるので、微分形式を用いるとシンプルに計算ができる。

非相対論をやめて、特殊相対性理論で考えると時空の計量が与えられ、幾何学との相性が良くなり、微分形式の計算との相性がよくなる。こうなると、微分計算は、外微分dとホッジ作用素*の組み合わせだけでできるようになる。

物理計算は、空間が与えられその元に演算子を作用させて、その元の推移を見ていくことに尽きる。これは古典論でも量子力学でもかわらない。

幾何を勉強して、座標がいらなくなったが、最近は、空間も物理に必要ないのではないかと思うようになった。

ヒルベルト空間っていらないよね。演算子だけで良くない?

圏論 - hiroki_fの日記

しかし、まだ演算子だけを見て計算できる能力が身についてないので、今現在修行中である。







昨日、自分の研究について上手くいかないと嘆いていたが、今日、うまいこと解決した。
因果律の計算がぴったりあって、図書館でにやけてしまった。
successorじゃなくて、creatorに - hiroki_fの日記

昨日までは相当苦しんでいたので、そろそろ降りてくる予感がしてたのだが、それが今日だった。でも、この計算のほとんどは、半年以上前にできていたんだな。最後のピースが単純なところにあった。