カノニカル分布にむけて。
いよいよカノニカル分布に向けて話をしよう。
これは
KTln2 - hiroki_fの日記
統計力学 - hiroki_fの日記
エントロピー - hiroki_fの日記
S=k_B log Ω - hiroki_fの日記
熱力学 - hiroki_fの日記
からのシリーズ物です。
カノニカル分布について説明しようと思った直接のきっかけは、
統計力学 - hiroki_fの日記
日曜日にカノニカル分布が、Hamiltonianをexpitentialの肩に掛けているのが分からないと言われて、上手な説明ができなくて、自分がちゃんと理解していないことを知ったからだ。
一応ここまでの準備でカノニカル分布の説明ができるようになった。
カノニカル分布は統計力学の話だ。
ここまでの話をまとめてみよう。
熱力学はマクロを対象した物理学だ。マクロな保存量、エネルギーU、体積V、粒子数Nが与えられた時に平衡状態下での系はエントロピーS(U,V,N)で一意に定まる。
マクロな変数を(T,V,N)にしたときは、マクロな状態を定める関数として、ヘルムホルツの自由エネルギーF(T,V,N)*1を用いる。
一方、統計力学はミクロな方程式からマクロな式(エントロピーS(U,V,N))を求める数学的な方便で、状態数Ω(U,V,N)とS(U,V,N)をボルツマンエントロピーを用いて関係づける。これには物理的な意味は全くなく、ミクロからマクロを結びつける戦略にすぎない。この戦略の正当性は熱力学を再現することによってのみにおいて保証される。
S=k_B log Ω - hiroki_fの日記
熱力学をやるときはエントロピーを中心に考え、その他の熱力学的な量については数学的に導出して、無理に意味を考えないほうがすっきりすると思う。*2
*1:エントロピーS(U,V,N)と等価 熱力学 - hiroki_fの日記
*2:解析力学もLagrangianだけから全て導出されると思ったほうがやりやすい。だいたいLagrangianに直感的な意味を見出すことなど不可能に近い。