告知:第二回。幾何と物理の超informalな勉強会

超インフォーマルだけどやります。気楽に議論に参加しにきてください。参加お待ちしてます。
飲み会もやりますよ。

http://atnd.org/events/22612

日時 : 2012/03/31 11:00 to 17:00

定員 : 20 人

会場 : 慶應義塾大学 矢上キャンパス (神奈川県横浜市港北区日吉3-14-1)
   教室 14−211 14棟東館(創想館)入り口から入って右側の建物二階

場所 http://www.st.keio.ac.jp/access/
キャンパスマップ ホーム | 慶應義塾大学理工学部

待ち合わせ 10時半 日吉駅の銀玉前 (直接会場に行ってもらってもかまいません)

幾何と物理の超informalな勉強会の続きです。


仮プログラム
11:00−11:40 深川 宏樹
11:50−12:30 三木 優彰
12:30−14:00 昼飯
14:00−14:40 古賀 実
14:50−15:30 後藤 振一郎
15:40−16:20 柳尾 朋洋

追記
秋元さんが講演してくれた。



発表内容

深川宏樹

流体力学における変分原理の改良」
散逸系の変分原理について語る。

流体の内部エネルギーと散逸関数が与えられたときに、変分原理を使って流体の運動方程式を導出する。最初に散逸のない系である完全流体の変分原理について説明をし、次に散逸系であるニュートン流体、粘弾性流体、高分子溶液の変分原理について説明をする。完全流体では質量保存則と断熱条件が成立し、オイラー方程式はこれらの拘束条件の下で、ある汎関数を最小にする条件から導出することができることが知られている。一方、散逸系であるニュートン流体では断熱条件は成立しておらず、流体粒子の流跡線沿ったエントロピーの変化は散逸関数と熱流によって決まる。これを使って、エントロピーに関する非ホロノミックな拘束条件を得ることができる。本発表では、ナビエストークス方程式がこの拘束条件の下で完全流体と同じ汎関数が最小になる条件から導くこができることを示す。また、この方法は粘弾性流体、高分子溶液についても適用可能であり、これについても説明する。

参考文献: [1] Hiroki Fukagawa, Youhei Fujitani, Clebsch Potentials in the Variational Principle for a Perfect Fluid, Prog. Theor. Phys. 124, 517-531 (2010). http://jp.arxiv.org/abs/1007.3093

[2] Hiroki Fukagawa, Youhei Fujitani, A Variational Principle for the Newtonian Fluid, http://jp.arxiv.org/abs/1104.0866

三木 優彰

テンセグリティの形状決定と仮想仕事の原理」

テンセグリティ構造の形状決定問題を具体例としてとりあげ、建築の構造工学における仮想仕事の原理や変分原理の強力な道具としての位置づけを概観します。さらに連続体の力学における仮想仕事の原理との関係にまで踏み込みます。

古賀 実

「量子状態の幾何と関連する物理」

アブストラクト:
量子系はHilbert空間によって表現されるが,その内積構造はシンプレクティック構造とRiemann構造を定め,様々な物理現象を記述する.例えば,シンプレクティック構造はSchr$\rm \ddot{o}$dinger 方程式をHamilton方程式として与え,Rieman構造は遷移確率や不確定性関係等を記述する.
また,純粋状態全体は自然にHopf束としての構造を持つ事を指摘し,そのホロノミーとしてBerry位相の一般化としての幾何学的位相であるPancharatnam位相が得られる事を説明する.一方,混合状態は純粋化によって純粋状態と見做す事で自然な主束が構成され,純粋状態の幾何学的位相の類推により,そのホロノミーとしてUhlmann位相と呼ばれる幾何学的位相を定義する.
また,量子情報幾何の分野で導入される,量子操作の下である単調性を満たす自然な計量を紹介し,Hilbert空間の内積構造から定まる幾何構造との関係を述べる.

後藤 振一郎

「不均一媒質内で生じるカシミア効果」

不均一媒質中、絶対零度での量子化された実スカラー場によって生じるカシミア効果を論じる。不均一媒質では、系の一方の端でのカシミア力の絶対値がもう一方の端のそれと異なる。この力の差をストレステンソルを介して微分幾何学的方法により計算した。また、場の理論で物理量を計算すると発散する無元和が現れるが、その発散量からあるゼータ関数と摂動論を使って有限量を取り出した。また系に対称性がある場合について厳密に力の差を計算した。

時間があれば量子電磁場による不均一誘電体で生じるカシミア効果についても述べる。

これらの成果はへール、タカー、ウォルトン博士との共同研究によるものである。