統計力学

先進的な統計力学の教科書が相次いで出版されている。



統計力学再入門 ベータ版1
Equilibrium statistical mechanics ― a second introduction
大野克嗣
http://webusers.physics.uiuc.edu/~y-oono/SecondSMJ.pdf

統計力学 未完成公開版
田崎晴明
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/statbook/

統計力学の基礎
清水明
http://as2.c.u-tokyo.ac.jp/lecture_note/statmech.pdf
執筆途中のものらしい


これらの教科書の主張は、
統計力学の確立モデルは熱力学を再現する為の方便にすぎない」
ということに集約される。

等充率の仮定もS=k log Wも熱力学を再現するための数学的手法にすぎないという見方だ。
これは平衡状態では、すごくうまくいっているのだが、非平衡状態については何もできてない。

学部時代、熱力と統計力学がよく分からなかった。ピストンを温めたり冷やしてたりしていたかと思えば、突然、おもちゃみたいな磁性体のモデルをもってきて、エントロピーを計算したりする。

熱力学がピストンの計算しかできなくて、統計力学はS=k log Wを認めてしまえば、幅広い現象について扱える。「じゃあ、熱力なんてやめちゃって統計力学だけをやれば、いいじゃん。」って感想も持った。でも、S=k log Wがエントロピーといわれても腑に落ちない。

そんなある日(3年前)、
統計力学再入門 ベータ版1
Equilibrium statistical mechanics ― a second introduction
大野克嗣
http://webusers.physics.uiuc.edu/~y-oono/SecondSMJ.pdf

統計力学 未完成公開版
田崎晴明
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/statbook/
を知った。

でも、自分で整理して理解できるようになったのはごくごく最近。てか、正直に言えば、現在進行中。

熱力学は物理で、統計力学は物理を理解する為の数学的方便と言う理解だ。
なぜ、数学的方便が平衡状態で有効なのかを考えるのは意味があることのように思えたので、今日はずっと考察をしていた。

統計力学の手法を安易に拡張させて非平衡状態に適応する理論がありすぎて、「ねぇ、大丈夫?何か誤解していませんか?」と思わず言いたくなる。

一方、ベネットが示した情報と熱の理論は不完全な論理ながらも、すごく興味をそそられる。何かが熱であるかどうかは、系の情報を知っているか否かに依存しているのは、自然なことに思えるからだ。

Jouのimformation theoryは全く信用してないけど、普通の情報科学で使われているような情報エントロピーと熱力学のエントロピーは深く関わっていると思う。ベネットの示したことはまさにそれだ。

ちょこちょこベネットの論文に迫っていきたい。

前置きが長くなったが、今日はカノニカル分布について、まとめてみたくなった。

日曜日にカノニカル分布が、Hamiltonianをexpitentialの肩に掛けているのが分からないと言われて、上手な説明ができなくて、自分がちゃんと理解していないことを知ったからだ。