完全流体の変分法

そろそろ研究についても書いてみようかなと思う。arXivにも置いてみた。
[1007.3093] Clebsch Potentials in the Variational Principle for a Perfect Fluid

とりあえず京都の研究集会

オイラー方程式の数理: 力学と変分原理250年」@京都大
部屋:420  期間:2010-07-12〜2010-07-14
RIMS共同研究「オイラー方程式の数理:力学と変分原理250年」

での発表資料をアップしてみた。

大阪府立大学中百舌鳥キャンパス(2010/9/23(木)-26(日))で行われる物理学会でも発表する予定

発表日時
24日 PSB会場 24pPSB 15:30〜17:30
領域11

24pPSB-45 Euler的描像による完全流体の変分原理の再考察

慶大理工  深川宏樹 藤谷洋平
Reconsideration of the Eulerian Variational Principle for a Perfect Fluid
Keio Univ. Hiroki Fukagawa and Youhei Fujitani

 Euler描像での完全流体のLagrangian密度は{{1}\over{2}}\rho v^2 \epsilon(\rho,s)( ρ:密度, v:速度場, ε(ρ,s):内部エネルギー)で与えられる。流体の運動方程式の多くがEuler描像で解かれることからも応用上重要である。

 一様entropy下での渦度のある速度場をその作用の停留条件から求めるには、拘束条件として質量保存とエントロピー保存に加え、Clebsch potentialsと呼ばれる補助場の保存則が必要とされることが文献[1,2]などにより指摘されていた。その物理的な意味は文献[3,4]によっても議論されている。本研究ではClebsch potentialsが流跡線の初期と終端での位置を固定する条件を課すために必要であることを明らかにした。

 一方Hamilton形式については、non-canonical Hamilton形式が文献[5]などで提案され、helicityがPoisson構造に由来するCasimir不変量となり保存することが導かれている。しかし、helicityが完全流体において保存されるのはbarotropic流か非圧縮流であるときに限られ、一般的な完全流体に対してはこのようなnon-canonical形式は成り立たないと思われる。本研究では文献[6]によって議論されたcanonical Hamilton形式が、制御理論の枠組みを使って導かれることを示した。

 また本研究では上記の完全流体のEuler的な変分問題の定式化、及びcanonical Hamilton形式を相対論的完全流体に拡張した。

[1] H. Bateman: Proc. Roy. Soc. Lond. A 125 (1929), 598.
[2] C. C.Lin: Int. Sch. Phys. Enrico Fermi(XXI) (Academic Press,1963), p.93.
[3] T. Kambe: Physica D 237 (2008), 2067.
[4] Z. Yoshida: Proc. Int. Symp. Contemp. Phys. (World Scientific, 2008), p.125.
[5] P. J. Morrison and J. M. Greene: PRL. 45 (1980), 790.
[6] Z. Yoshida: J. Math. Phys. 50 (2009), 113101.