圏論
前々から興味があって、2007年の春休みと2008年の春休みに少し勉強して以来、ほとんど理解が進んでなくて、それでも何とか物にしたい分野が圏論だ。物理の勉強に追われて、大学がはじまるとなかなかできない。数学基礎論やチューリングマシン、計算可能性、超準解析を一挙に圏論でやってしまおうと思っているのだけど、時間が‥。
こんなサイトを見つけてしまっては、なおさら圏論を勉強せねばならぬと感じてしまう。
The n-Category Café
http://golem.ph.utexas.edu/category/
圏論が21世紀の中心的な解析手法になることは間違いないと思う。
僕の浅はかな理解で圏論と量子論の関係を、そして情報処理の関係を述べてみようと思う。後々理解が進んだ時、間違ったことや勘違いを述べているかもしれないけど、自分自身の一歩の為に書く。
数学の基礎となるが集合論だ。
集合はただ物がそこにあるということを述べるだけにすぎない。次に写像を定義して、別の集合との対応関係を決める。有限集合だったら、しらみつぶしに調べていくことが可能なので何も面白いことは起きない。
無限集合を導入することによって、数学としての面白さが出てくる。
1。無限集合を量化記号,で扱うのが、popularなやり方だが、それとは異なる方法で扱うのが超準解析。
2。εーδ論法で解析を行う為には、集合に近い遠いの概念が必要なので位相をいれて定義する
以上が標準的な現代数学のストーリだと思う。
圏論は集合を一々考えなくても、写像だけに注目していればいいじゃない?って考え方だ。
僕は学部の時は応用物理学科だった。学部3年の夏まではネットワーク系の実装に興味を持っていて、そればかりを勉強していた。(とはいっても、1,2年は普通の大学生なみに勉強していなかったし、大学に入ってからコンピューターに触れたので、大したところまでいってない。)
修士から数学科に入って幾何を勉強したのだけれど、カルチャーショックを受けたのは、集合論に還元して考えるという現代数学のスタイルだ。
斎藤正彦の「数学の基礎―集合・数・位相」の序文にあったような気がした(この本は図書館で借りただけで持っていない。)のだけれど、「高名な物理学者でも集合論を知らない人がいる。」と書いてあったような気がする。
僕が学部で勉強していたなかで、集合を意識したことは全くなかった。関数はただなんとなく与えられていて、それがどの集合からどの集合への写像だなんて意識したことがなかった。物理学者の論文で集合を意識している論文はほとんど皆無だ。集合の変わりに、物理的な実体を考えるのが普通だ。Iは電流を表して、vは流速場を表してといった具合だ。このなかで、Iやvがどういう集合なのかという数学的な考察はない。
それで物理学や工学は成り立つのだ。
とはいいつつ数学科で鍛えられた集合論に還元する考え方は、意識すら上らなかった問題に目を向けるきっかけになったし、集合を考えることによって、物理が数式に落とされた時に、このようにして扱われるべきという、数学的な方針を立てることに役に立った。もちろん、物理は現象を見ながら遂行されるべきであり、両サイドから物事を検討することができるようになったのは、自分の研究の質を高めることに役に立ったのは間違いない。
そんなこんなで素晴らしい集合論だが、量子論に突入するとその神通力は半減する。
量子論は演算子(作用素)が大活躍する理論形態だ。量子論の舞台(集合)に(ヒルベルト)L^2空間があるけど、Heisenberg描像をとれば、考えるのは演算子の振る舞いだけになってしまう。つまり、集合をまた意識する必要がなくなってしまうのだ。
圏論は写像(作用素)の振る舞いを基礎にした見方だ。物理がどの集合にあるのかを考えるよりも、どういう圏なのかを意識した方が、物理の数学的側面が見えてくると思う。そういうことで、是非とも身に付けたい圏論だが、如何なものだろうか?
コンピューターについては、コンテンツ(集合)そのものよりも、その結びつき(射)がネットワークの質を決定することから、集合論による解析よりも圏論による解析が重要であることは間違いない。
とりあえず、隙間時間で檜山正幸さんのサイトで勉強させてもらうのがよいのだろうか。
http://www.chimaira.org/docs/indexCategoryTheory.htm
http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/