微分形式
今日は、牛乳を1㍑ベッドの上にぶちまけてしまい、大変なことになってしまった。
微分形式とは何か?について書こうと思ったが、書いてみようとすると分からない。
小林昭七の「曲線と曲面の微分幾何」には、「外微分形式は重積分の計算から発生した」と書いてあり、松本幸夫の「多様体の基礎 (基礎数学)」には、「計算しているうちにある種の直感が形勢されてくる」と書いてある。
"Don't Think. Feel!"の世界だ。
小平邦彦が著書の中でこんなエピソードを書いていた。
ある大学で大学院の入学試験の面接をしたときに、定理のstatementはしっかり答えられるのに、実例を示せない学生がいたそうだ。
彼は結局不合格になり、捨て台詞を吐いて大学を去ったそうだ。
例があって初めてstatementが意味を持つと数学科の友人が言っていて、なるほどなぁと思ったことがあった。
塾や家庭教師で中学生、高校生に数学を教えたことがあるが、彼らには意味を教えるよりも、とりあえず手続きを教えた方が、早く習得するように思える。
なんかやってるうちに、自然と計算が慣れてしまうのである。
さて、微分形式だが、実際に計算は研究の中で相当やったので、自由に計算することはできる。でも、改めて、微分形式とは?と聞かれると、答えに窮してしまう。
交代テンソルのことだと言ってみたところで答えになってるかどうかあやしい。
微分形式を勉強する時には、電磁気との対応をみながら勉強した。電磁気学は良く知っているし、式にイメージが湧くので感覚として理解できる。
自分の場合は、いろんな物理量と結びつけて勉強していたら、いつのまにかなんとなく体得してしまった感じだ。
前回のエントリーで接ベクトル空間TpMについて説明したが、一形式は、余接ベクトル空間Tp*Mの元になる。
ベクトル空間の双対空間になっているが、双対空間はベクトル空間と「ニワトリが先か?卵が先か?」のような関係にあり、見方によると双対空間があるから、ベクトル空間の基底が決まるようにも思えるし、ベクトル空間があって、双対空間が定義できるようにも見える。
とりあえず定義を書くと、一形式とは、ベクトル空間V=TpMからRへの写像
であって、以下の性質を持つものである。任意のベクトルと任意の実数について、
となるものである。
そして、任意のに対して、
を定義すると、ももであることが分かる。
つまり、V*もベクトル空間。
で、今まで、速度vをベクトル空間TpMの元として考えてきたけど、別に双対ベクトル空間Tp*Mの元であっても問題はない。
点での局所座標系が与えられたときにTpMの基底は、
で与えられる。
一方、Tp*Mの基底は、
で与えられる。
Tp*Mの任意の元は、ベクトルから実数への写像になっているので、
となる。
次に2形式について、
2形式は、交代テンソルで、
となる。
これの座標変換を考えると、
が成り立ち、これは重積分の変数変換公式に似ている。
重積分では、の絶対値
を取る所がちがう。
の時に座標は同じ向きにあると言う。
2形式は多重積分との関連から、向きを気にした面積だと理解することができる。
物理量は、volumeに関係するので、物理量が何形式であるのかを意識するのはとても重要だ。単にベクトル解析してただけでは分からないvolumeとの関係が、微分形式を通して考えると見えてきておもしろい。
計量が与えられた空間Mでvolumeを定義するには、これだけでは足りなく。計量がgが与えられた時に
体積要素は、
で定義される。これが座標変換に対して値を変えないのは、簡単に分かる。
ここまできたら、ホッジ作用素が定義できる。また明日。
曲線と曲面の微分幾何 小林昭七 多様体の基礎 (基礎数学) 松本 幸夫 |